宅建資格の需要はあるの?

宅地建物取引士は、不動産取引についての水先案内人、大きな不動産取引タンカーを無事誤りなく航行させる役割をもち、不動産取引の安全確保に欠かせない存在です。

1982年ごろは、不動産会社等においても宅建の企業研修をすることはめずらしいことでした。

しかし、現在では、不動産会社の営業実務関係者、金融機関の貸付担当者、一般企業の用地部、財務部等の担当者などにおいて、取引士の資格は不可欠のものとされ、研修はおろか合格取得者に対して奨励金やお祝い全を出す会社、管理職昇格の条件とする会社もみられるようになりました。

Hさんは、課長昇格のときにはなかった資格の条件が、部長になるときには新しく設けられていたとボヤいていました。しかし、会社の推奨機会に勉強時間もでき、みごと部長昇格の条件の1つを手に入れることができました,

現在、建研修は不動産業、金融業以外でも行なっています。JR、公社公団、JA、商工会議所、製鉄会社、アパレル産業、外食産業、大手スーパー、大手フランチャイズ店など従来は考えられないようなところで宅建研修が行なわれています。

それらはいずれも、膨大な不動産を有する法人企業が、その含み資産ともいうべき不動産を有効利用し、安定収益の確保をしようとするのがねらいのようです。

日本は、金本位性になぞらえ土地本位性社会といわれてきました。土地の含み益が増すことによって、土地を担保に信用が膨張し、資金調達に大きな役割をはたすのです。

日本における財産形成は、不動産を切り離して考えることはできません。なぜなら、会社が大きくなるには、用地を買収したり倉庫を増やさなければなりませんが、それが即会社の財産形成に寄与し、後の資金調達に大きな役割をはたすからです。他方、優秀な人材を確保するため、社宅を整備・提供しなければならないともいわれています。現在の企業で不動産に全然関係がないという会社はないくらいです。

したがって、意外な会社、意外な組織が本業以外に不動産業に進出したり、企業内に不動産部門をもっていたりします。ある会社は、不動産を利用してその会社にまったく無間係の外食産業に似た部門をもっていました。企業のリストラといわれるものです。企業の他部門化ヽ異業種化による事業の展開で、そこに余剰人員を吸収するメリットもあるといわれています。また、多くの企業では、担当部門だけでなく総務関係ヽ全面関係担当の方も宅建について勉強しています。

ともあれヽもっとも気軽に受験でき、不動産に矢かせない宅建受験者は20万人近い、日本一の受験生を有するマンモス国家資格に成長しました。

現在は、宅建業者の事務所ごとに、従業員5名中1名の専任の取引士を置かなければならないとされています。これはあくまで私の予想ですが、近い将来において不動産取引にかかわる全員が、会社の方針として、取引士の資格を取得することになるかもしれません。